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Atelierで“日高 敏隆”が含まれるブログ記事

2016年9月17日

隠居の散策:白露の候の泉北ニュータウン栂地区の生き物(1)

秋のお彼岸までまだ少し日にちがある24節気白露の候(9/8-9/21ころ)、少し秋の気配を感じながら、近所を散策した。
 いつもあまり歩かない小道を歩いてみると思いがけない発見があったりする。この時期には、ヤブガラシの花序が伸びていていたるところに絡みついている。そこにいろいろな昆虫がやってくる。ヤブガラシは別名ビンボウカズラと呼ばれていて、手入れの行き届かない庭や畑などにはびこる。このような植物の方に蝶などはやってくる。よく手入れの届いた公園などには、虫はあまりやってこない。皮肉なものだ。

白露の候の生き物たち:泉北ニュータウン栂地区

;クリックすると大きな写真になります。 2016/9/9 堺大森
ランタナ
雑草の中に咲いている。"時間が経つにつれて黄色から橙色,赤色へと花の色が変わります。このため「しちへんげ(七変化)」とも呼ばれますが、色の変化しない黄色や白色の品種もあります。"とボタニックガーデンにはある。
SONY α7Ⅱ+FE24-240mm zoom
59.0mm 絞り優先 1/60s f9.0 ISO100 露出補正 -0.3
;クリックすると大きな写真になります。 2016/9/9 堺檜尾
百日草にイチモンジセセリ
道に面した小さな花畑に色々花が植栽されており、蝶がやってきている。
SONY α7Ⅱ+FE24-240mm zoom
134.0mmクロップ 絞り優先 1/60s f9.0 ISO125 露出補正 -0.3
;クリックすると大きな写真になります。 2016/9/9 堺檜尾
ノウゼンカズラ
上に伸びたノウゼンカズラの花の上の雲は秋色だ。
SONY α7Ⅱ+FE24-240mm zoom
59.0mm 絞り優先 1/500s f6.3 ISO100 露出補正 +0.3
;クリックすると大きな写真になります。 2016/9/9 堺檜尾
マリーゴールドにホシミスジ
この蝶は関東にはあまりいないらしい。
SONY α7Ⅱ+FE24-240mm zoom
59.0mm 絞り優先 1/500s f6.3 ISO100 露出補正 +0.3
;クリックすると大きな写真になります。 2016/9/9 堺檜尾
シオカラトンボ
成虫、幼虫ともに肉食で、小さな昆虫類を餌にしているらしい。
SONY α7Ⅱ+FE24-240mm zoom
184.0mm 絞り優先 1/200s f6.3 ISO500 露出補正 +0.3
;クリックすると大きな写真になります。 2016/9/9 堺檜尾
ヤマトシジミ開翅
ツユクサに留まって開翅。翅が青色がかっているので、オスだろう。
SONY α7Ⅱ+FE24-240mm zoom
152.0mmクロップ 絞り優先 1/200s f6.3 ISO100 露出補正 -0.3
;クリックすると大きな写真になります。 2016/9/9 堺和田川
アオサギ飛翔
ほとんど静止しているが、ときたま飛び立って場所を変える。
SONY α7Ⅱ+FE24-240mm zoom
240.0mmクロップ 絞り優先 1/250s f6.3 ISO160 露出補正 -0.3
;クリックすると大きな写真になります。 2016/9/9 堺檜尾
千日紅にヒメアカタテハ
ほとんど静止しているが、ときたま飛び立って場所を変える。
SONY α7Ⅱ+FE24-240mm zoom
201.0mmクロップ 絞り優先 1/250s f6.3 ISO125 露出補正 -0.3
;クリックすると大きな写真になります。 2016/9/9 堺檜尾
百日草に吸蜜するアゲハチョウ
3,4頭が飛び回っていた。
SONY α7Ⅱ+FE24-240mm zoom
240.0mmクロップ 絞り優先 1/250s f6.3 ISO160 露出補正 +0.3
;クリックすると大きな写真になります。 2016/9/9 堺檜尾
実った稲にキタテハ
このような状況では極めてピントが合いにくい。キタテハと稲でググったら、海野和男さんの写真がヒットした。このような状況では、ピントが合いやすいだろう。
SONY α7Ⅱ+FE24-240mm zoom
169.0mm デジタルズーム3倍 絞り優先 1/400s f6.3 ISO100 露出補正 -0.3
;クリックすると大きな写真になります。 2016/9/9 堺檜尾
オクラの花
この時期、野菜畑ではオクラの花が目立つ。
SONY α7Ⅱ+FE24-240mm zoom
201.0mm 絞り優先 1/250s f6.3 ISO125 露出補正 +0.3
;クリックすると大きな写真になります。 2016/9/9 堺檜尾
タマスダレ
ブラジルが原産だそうだ。園芸用のものが混ざり込んだのだろうか、田んぼの脇に咲いていた。
SONY α7Ⅱ+FE24-240mm zoom
110.0mm 絞り優先 1/160s f6.3 ISO100 露出補正 +0.3
;クリックすると大きな写真になります。 2016/9/9 堺檜尾
オオイトトンボ
連結したカップルが草の葉に留まっていた。堺いきもの情報館に投稿。
SONY α7Ⅱ+FE24-240mm zoom
219.0mm 絞り優先 1/250s f6.3 ISO200 露出補正 -0.3
;クリックすると大きな写真になります。 2016/9/9 堺檜尾
アキノノゲシ
人の住むところにしか生えていない。花は昼間に開いて夕方には萎むとのことだ。
SONY α7Ⅱ+FE24-240mm zoom
49.0mm 絞り優先 1/160s f6.3 ISO100 露出補正 -0.3
;クリックすると大きな写真になります。 2016/9/9 堺檜尾
ヤブガラシにアゲハチョウ
左尾状突起が欠損している。
SONY α7Ⅱ+FE24-240mm zoom
198.0mm 絞り優先 1/200s f9.0 ISO120 露出補正 -0.3
;クリックすると大きな写真になります。 2016/9/9 堺檜尾
キバナコスモスにツマグロヒョウモン♂
ツマグロヒョウモンは、園芸用の花によくやってくる。
SONY α7Ⅱ+FE24-240mm zoom
201.0mm 絞り優先 1/250s f9.0 ISO250 露出補正 +0.3
;クリックすると大きな写真になります。 2016/9/9 堺檜尾
アゲハチョウの飛翔
「チョウはなぜ飛ぶのか」での写真と同じ構図を狙ったが(^_^;)。難しい。
SONY α7Ⅱ+FE24-240mm zoom
130.0mm 絞り優先 1/160s f9.0 ISO100 露出補正 +1.0
;クリックすると大きな写真になります。 2016/9/9 堺檜尾
ヤブガラシにはキアシナガバチも
名前通り、脚が黄色いアシナガバチ。
SONY α7Ⅱ+FE24-240mm zoom
184.0mmクロップ 絞り優先 1/200s f8.0 ISO400 露出補正 -0.3


  
新編 チョウはなぜ飛ぶか フォトブック版
日高 敏隆
朝日出版社
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2011年7月26日

隠居の読書:「チョウはなぜ飛ぶか」(日高敏隆、写真:海野和男)


新編 チョウはなぜ飛ぶか フォトブック版
日高 敏隆
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 毎日新聞の日曜日朝刊には、【今週の本棚】というページが3ページある。最近購入している本は、たいてい、これらのページに載っている書評から選んだ本である。本屋には行かず、もっぱら自分のブログに アフリエートしている Amazon からであるが。

 7月24日の朝刊【今週の本棚】に、村上陽一郎さんの次のような書評が載った。長いが全文引用させてもらう。
新編 チョウはなぜ飛ぶか   日高敏隆・海野和男著(朝日出版社・1995円)

虫好き少年の目が動物行動学を開いた
 だいぶ前の話である。さる地方大学に講演にいったとき、その後おきまりの懇親会になった。生物学の助教授(当時の呼称)という方が寄ってこられて、ささやくように、こうおっしゃる。「実は、私、日本鱗翅(りんし)学会に入っていますが、学内ではそのことは内緒にしています、昇進に差し障りがあると思うからです」。
鱗麹類というのは身体に鱗粉を付けた昆虫、つまりチョウやガのことである。昭和20年に誕生したこの学会は、「学会」と言っても、ハードな研究者だけの集まりではなく、アマチュアの虫好きにも開かれた自由なコミュニティなのだが、現代の科学の世界では、レフェリー付き論文が何本あるか、だの、それらが掲載された学術雑誌のインパクト・ファクターはどれだけか、だのという基準で、研究「業績」なるものがもっぱら評価される。とすれば、そうした要素とは少し距離がある鱗翅学会員であることは、業績評価のマイナスにさえなる、という判断であったのだろう。
 確かに、現代、隠れもなき虫好きをもって世に知られる方々、たとえば養老孟司氏や奥本大三郎氏らの本職は、生物学ではなく、虫好きは専門の研究領域とは関係がない。私自身、子供の頃は、虫好きを任じ、特に皆がきれいだと集めたがるチョウに背を向けて、割合に嫌われることの多いガの採集や飼育に心を奪われて過ごしたが、そのことは、現在の専門とは基本的には無縁である。しかも、私は、成人まで、その好みを持ち続けることができなかった。
 しかし、そうでなかった希有(けう)の人がいる。少年時代の虫好きを持続しながら、最前線の研究にまで繋(つな)げた達人、それが本書の著者である日高敏隆さんである。当初日高さんは、通常の生物学者として、動物の生理学的研究に携わられたようだが、次第に「動物行動学」の領域に自らの方向を定めることになった。それはちょうど、世界的に見て、「動物行動学」というカテゴリーが確立されようとしている時期に重なっていた。その意味では、日高さんは、まさしく日本の動物行動学の創始者の一人である。
 そうした日高さんが、研究論文ではなく、一般向け、あるいは青少年向けに発表された最初の話題作が、<岩波科学の本>の一冊になった、1975年の『チョウはなぜ飛ぶか』である。この書物は翌年の毎日出版文化賞に輝いた。
 ここで本書の解説をしておくと、本書は、その旧版の内容に、日高さんに触発されて昆虫写真家になったと言われる海野和男氏撮影の、みごとなチョウの生態写真が、ふんだんに配されて編集された、まことに嬉(うれ)しい本である。
 少年時代から持ち続けていた、チョウはなぜ、どのように飛ぶか、という疑問を、学問研究のテーマにまで高め、実際に繰り返し調査を重ねて、そこに成立しているルールの発見に至る本書の前半部分は、こうした動物行動学研究の見本のような、スリルと味わいがあり、今読んでも、いっこうに古さを感じない。念のために書いておくが、ここで言うチョウは、、チョウ一般ではない。明確なルールに従って飛ぶ(いわゆる「チョウ道」を持つ)のは、アゲハチョウの仲間だが、そのなかでもキアゲハには、そうした固定したルールはなく、モンシロチョウなども同様だという。
 さて、本書が今も新鮮に受け取られる理由の一つは、後半の部分で、日高さんが終生追い続けた、動物の「認識」の問題が、すでに扱われているからでもある。チョウの目に映る世界の姿は、チョウでない限り判(わか)らないはずだが、幸い人間には想像力があるから、それに近づくことは不可能ではない。そして、そうした観点を持つことで、逆に、人間の持つ認識の特徴が、逆照射されることにもなる。これが日高さんが多くの著書のなかで、説き続けた主題であった。たとえば本書132ページは「同じ世界が、ちがって見える」というタイトルで始まる。その内容は、相対主義的認識論と哲学者なら言うだろう。しかし、ここでは、チョウの生態を基盤にした、小賢(こざか)しい机上の議論を許さないような、明確なメッセージが伝わってくる。
 海野氏の写真のすばらしさも特筆すべきであろう。大型でとくに美しいミヤマカラスアゲハはもちろん、まあ普通に見られる(といっても、最近の都会地では、なかなかお目にかかれなくなったが)ナミアゲハやキアゲハも、なんと美麗に見えるだろうか。
 残念なことに日高さんは、2009年に他界されている。しかし、亡くなった後も日高さんの著書は、次々に出版されている(『世界を、こんなふうに見てごらん』集英社、『ぼくの生物学講義-人間を知る手がかり』昭和堂など)。どれほど多数の読者がついているか、それだけでも判る。
 これから夏休みに入る。この書物は、子供たちが自然とのコミュニケーションの方法を学ぶための、絶好の手引きになるだろう。
註: 本文は縦書きであるが、横書きとし、また、文中の漢数字は、アラビア数字に変換した。

 最近、Studio YAMAKO のオーナーの影響を受けて、蝶の写真を撮ることが多くなっていたので、すぐその日に、Amazon で注文した。翌日届いた。最近このようにして購入してもツン読になっている本が多かったが、この本は内容が子供も読めるように平易な記述になっているせいもあるが、一気に読んでしまった。
 最近撮っている蝶の写真は、この本に出てくるアゲハチョウ類やモンシロチョウばかりでなく、タテハチョウ・シジミチョウなど他の種の蝶も被写体としている。 が、蝶の生態もよく知らずに、行き当たりばったりに撮っている。写真で共著となっている海野和男さんは日高敏隆さんの弟子ようであるが、その写真はにはため息がでるばかりである。まあ、そんな写真をとるという野望は諦めたほうがいいと思っている。

 それでも、次の一文を頭に入れておけば、もう少しましな写真が撮れるかもしれない。
 チョウは「なぜ飛ぶか」といったら、「ものを探している」が答えだ。探すものは三つあって、食べものであるミツをもつ花と、卵を産む場所と、それからメス。(106ページ)